本格! 茶葉から淹れる紅茶【リーフティーの淹れ方】
~ティーバッグやペットボトルでは味わえない深み~
紅茶を飲むなら、ペットボトルの紅茶を買ってくるか、ティーバッグから淹れるという方が大半だと思います。
一方、おしゃれな缶に入っている裸の茶葉の状態から紅茶を淹れる習慣がある人はなかなかいないんじゃないでしょうか。
豆を挽くところから淹れた珈琲が香しいのと同様、要点を押さえて茶葉から淹れる紅茶(リーフティー)にもティーバッグにはない深みや香りが醸し出されるものです。
ただリーフティーて面倒くさそうですよね。
かなり慣れないと喫茶店で飲むような味は出なさそうな気もします・・・。
なので今回は、物心ついた時からリーフで紅茶を淹れていた(むしろティーバッグの淹れ方の方がわかっていない)僕が独学と経験を積み重ねた『リーフティーの淹れ方』をご説明します。
・・・といっても、そこまで職人技が必要ということはありません。要点を覚えて後は試しに淹れてみる。そして心を込めて落ち着いてお湯を注げば、美味しい紅茶を淹れることができるものです。
紹介する要点は他の紅茶マニアの方も紹介するもので、加えて、初心者がわかり辛いところに僕なりの説明を加えてご説明します。
①用意するもの
・お好きな茶葉
・メジャースプーン
・やかん(注ぎ口が細すぎないもの)
・ティーポット(ジャンピング(※後述)が起きやすいように丸みがあり、透明(ガラス製)がおすすめ)
・ティーポット(淹れた後の紅茶を移し替えるもの、保温性があればどういったものでも可)
・ストレーナー(茶こし器)
・カップ(紅茶の色や舌触りを楽しむために内側が無地白色の陶器製がおすすめ、筆者のようにガラス製でも可)
メジャースプーンはルピシア(https://www.lupicia.com/)さんで購入したものを使っています。
②お湯を沸かす
リーフティーはお湯を沸かす段階にいくつかの美味しくなるポイントが隠されています。
・まず水は水道水を使いましょう。
ペットボトルのミネラルウォーターや汲み置きの水、一度沸かした水などは紅茶に向いていません。
ここで大切なのは水に含まれている空気(酸素)の量です。
水に含まれている酸素が、紅茶の香りや深みを引き出すジャンピング作用を引き起こしてくれるので“汲みたての新鮮”な水を使いましょう。
・蛇口からやかんに勢いよく注ぐ
上の写真のように、高い位置から叩きつけるように水を注ぎましょう。
これも空気をたくさん含ませるためです。
またやかん7分目ほどまでたっぷり水を注ぎましょう。
・スピーディに沸騰させる
これも空気が逃げないように。
強火で一気に沸騰させましょう。
・前もってティーポットも温めておく
茶葉のうまみを引き出すには、温度が大切です。
せっかくお湯を沸騰させても、それを注ぐポットが冷えていると、うまみが出る前にお湯が冷えてしまうので、ポットやストレーナーは前もって温めておきます。
(写真のように、前もって少し沸かしたお湯を入れて温めておきます。)
③茶葉を計る
前もって温めた上で、しっかりお湯を切ったティーポットにお好みの茶葉を入れておきます。
↑今回使う茶葉はこんな感じのBOP(ブロークン・オレンジ・ペコー)。
・入れる量は各商品の表示に従って
⇔ただ我が家では飲む人数+1杯で入れております。理由はなんとなくです。
こんな感じ。
温めた際のお湯はしっかり切って、茶葉が濡れないように。
・茶葉は丁寧に保管
茶葉はその風味を長くキープするため、しっかりした環境で保管しましょう。
・密閉できる紅茶缶やキャニスター(とくにキャニスターが良し)で保管
・湿気の無いところに
・他食品等の匂いが移らないように
・常温保管 冷蔵庫NG
・なるべく早く飲みきる
以上のルールを守って保管しましょう。
・ポットが冷めないように・・・
沸騰までの間にポットが冷めないよう、やかんから出る湯気で保温しておきます。
ここまでしている方はいないのですが、僕の場合ジャンピング鑑賞を楽しみたいがためにティーコジーでの保温をしないので、この段階でしっかり温めておきます。
④抽出 お湯を茶葉に注ぐ
いよいよ沸騰したお湯をティーポットに注いでいきます。
ここの段階に限って経験がものを言うかもしれません・・・。
・まずお湯は沸騰直後、かつ沸騰させすぎず
温度の足りないお湯だと茶葉の風味が十分出ないし、沸騰させすぎると大切な水分中の空気が逃げてしまいます。
沸騰したら、すぐに火を消し、スピーディにポットに注ぎましょう。
よく紅茶の書籍などでは、『○○℃になったら注ぐ』とありますが、のんきに温度計で図っている暇はありません。
泡の大きさで判断しましょう。
上の写真のように5円玉サイズの泡が密集したくらいが僕の見極めどころです。
この泡がもっと大きくなり弾け始めたら遅いです。
・茶葉に叩きつけるように注ぐ
お湯は常に“叩きつける”を意識しましょう。全ての茶葉が舞うように。
僕の場合、まず低い位置から焦点を定めて茶葉に注ぎ始め、そこからやかんをすぐ高く上げて茶葉の真ん中に叩きつけるようにして注ぎます。
そして7分目くらいでやかんを再度下げてゆっくり注ぎ茶葉を躍らせます。
・ポットに蓋をして時間を計る
ポットをゆらさないように指定の時間待ちます。
ただ僕は渋みや苦みが好きなので、問答無用で5分抽出時間をとることが多いです。
ここで一般的には布製のティーコジーをポットに被せて、ポットを保温させるのが要点なのですが、
僕はこの抽出の段階で起きる幻想的な『ジャンピング作用』を鑑賞したいので、コジーを被せず透明なポットで舞う茶葉を眺めます。
・この間に他の茶器も温めておく
抽出している隙に、移しかえ用のポットやカップ、ストレーナー(茶こし器)も、残ったやかんのお湯で温めておきます。
⑤ジャンピング
お待ちかねのジャンピングの時間です。
『ジャンピング』とは、お湯の温度が低すぎず高すぎず、新鮮で空気をたくさん含んだ状態で起きる現象です。
文字どおり、ポットのお湯の中で茶葉が踊るように舞い、その自然な対流運動によって、ほどよく茶葉の成分が醸し出されるのです。これをスプーンなどでかき混ぜてしまうと無駄に苦み渋みが出てしまい紅茶が台無しになってしまいます。
ジャンピングが起きる条件としては、
・ポットは保温性の高い、丸みのあるものを
・新鮮で汲みたての空気がたくさん含まれた水
・お湯の温度は低すぎず、高すぎず、沸騰したてを
・ポットに叩きつけるように注ぐ
が主なところです。
これに+αで、注ぐ際の腕前といったところでしょうか。
本当に丁寧に入れないと綺麗なジャンピングは起きません。
↑ジャンピングの様子
写真はあまり満足いくものではありませんが、
茶葉がポットの上と下に分かれ、上がったり下がったり、対流している状態がジャンピングです。
この対流で紅茶の成分がお湯に溶けだしていきます。
ちなみに、別のグレード(=葉のサイズ・切り方のこと)の茶葉のジャンピングを下に載せておきます。
写真のはCTCという、切った葉を団子のように丸めた製法での茶葉をジャンピングさせた様子です。
いずれ、動画でも紹介したいですが、こちらは本当にスノードームを見ているような美しいジャンピングをしてくれます。
⑥ストレーナーでこして出来上がり
温めておいたストレーナーとポットに抽出した紅茶を注いで出来上がりです。
お気に入りのカップに注いでお楽しみください。
⑦まとめ
いかがでしたか。
要点だけ押さえれば簡単という風に冒頭書いておりますが、まとめてみると押さえるべき要点って少なくはないですね・・・。
ただ初めてリーフで淹れるという方は、最初からそこまで神経質になる必要はありません。
まずは美味しくなるように心を込めて淹れることを意識すること。
それだけで不思議、ティーバッグやペットボトルでは味わえない“本格的”な風味に感動していただけると思います。
リーフでの茶葉は、百貨店やカルディコーヒーファーム(https://www.kaldi.co.jp/)などで購入できます。
この記事を読んでリーフティーを試していただける方がいたらうれしいです。